第3回研修

〈研修課題〉 

 

     障害者(主に肢体不自由者)の地域生活を

     支える支援をともに考える

 

1113日淑徳短期大学で第3回板福連職員研修が、「障害者(主に肢体不自由者)の地域生活を支える支援をともに考える」というテーマで実施しました。講師の田村恵一淑徳短大教授のソフトな口調に乗せられ講義が進み、後半では参加者が2人が組になって実践的な演習がありました。(以下、研修要旨)

 

1.肢体不自由者とは

肢体不自由者(したいふじゆうしゃ)とは、先天的か後天的かを問わず、四肢の麻痺や欠損、あるいは体幹の機能障害のため、日常の動作や姿勢の維持に不自由のある人を指します。要因のほとんどが、脳疾患(とりわけ、CPと呼ばれる脳性まひ)とされています。発症時期には、出生前(胎内感染、母体の中毒、栄養欠損など)分娩時(脳外傷、脳出血、脳の無酸素状態、胎児黄疸、仮死状態、未熟での出産など)、出生後(脳内出血、脳炎など)の3つの要因が考えられています。低出生体重(未熟児)、新生児仮死、新生児重症黄疸の3大要因が原因と考えられていたそうですが現在は医学の進歩で減ってきているようです。

 

2.コミュニケーション技術

コミュニケーションには、大きく分けると、言葉による「バーバル(言語)コミュニケーション」と言葉を使用しない「ノンバーバル(非言語的)コミュニケーション」があります。

 バーバルコミュニケーションは、会話や文字、印刷物など言語的なコミュニケーションのことです。ノンバーバルコミュニケーションは、顔の表情や声の大きさ、視線、身振り手振り、ジェスチャーなどによるコミュニケーションです。 ある測定の結果、話し手の印象を決めるのは、「言葉以外の非言語的な要素で93%の印象が決まってしまう」ということがわかりました。(視覚情報=見た目・身だしなみ・しぐさ・表情・視線55%、聴覚情報=声の質高低・速さ・大きさ・テンポ38%、言語情報・話す言語そのものの意味=7%)

 

3.相談援助技術ーバイスティックの7原則

 バイスティックの7原則はソーシャルワーカーの相談援助技術の基本であり、① 個別化の原則② 自己決定の原則③ 受容の原則④ 非審判的態度の原則⑤ 秘密保持の原則⑥ 統制された情緒的関与の原則⑦ 意図的な感情表現の原則があげられています。ただ、対人援助等の実務上で確実に実現することの難しさ、あるいは無意識に原則が守られていない状況等を認識することが重要です。

4.日常生活における自己決定の援助について

①おせっかい(自分の立場で対応)と援助(相手の立場で援助)の違いを意識し②アドボカシー(自ら自己の権利を充分に行使することのできない、障害者などの権利を代弁)等のよって自己決定を援助します。

 

5.事例を通しての支援の実際

《事例12人ひと組となり、4つの図形を十字線と斜線で分割した図表が用意され、1人がその図表を言葉だけで相手方に説明し、説明を受けた相手が図表を再現します。表現の送り手と受け手の難しさを体験しました。

《事例2》構音障害とは発語に用いる口蓋・口唇・舌・のど等の筋肉を支配する神経が麻痺しているため、語音を組み立てられない状態のことです。ほぼ9割の構音が5歳までに確立されると言われています。

構音障害に対する「ア行」(母音)ーク法則を学びました。伝えたい言葉をひらがなで書く。例えば、「みかん」の語音は構音障害がある人の場合、ア行母音に対応させると(「ん」そのまま)、「いあん」の語音になる傾向がある、との法則です